果報は、寝てまて
長崎県の民話
むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。 ひどい貧乏でしたが、二人とも心の優しい人です。
あるお正月の朝、目をさましたおじいさんが、おばあさんに言いました。
「おら、いい夢を見た。うらの畑に大きな木があるだろ。その木の根元をほっていたら、小判のどっさりつまった壷が出てきてな。うれしやと思ったら、目がさめた」
それを聞いたおばあさんは、
「それじゃ、早くほりに行きましょう。むかしからお正月に見る夢は、『初夢』といって、本当の事だと言いますよ」と、言って、急いで起きようとしました。 すると、おじいさんが言いました。
「これこれ、そんなに慌てちゃいけない。むかしから、『果報は寝て待て』と、いうじゃないか」
「それもそうですね。それじゃ、ゆっくり寝ていましょか」
おばあさんは、またねどこに潜りました。 ところがこの時、家の前を通りかかった、隣の欲張りじいさんが、二人の話を聞いていました。
(しめしめ、いいことを聞いたぞ)
欲張りじいさんは、早速クワを持って畑のところへ行きました。大きな木の根元をほってみると、どうでしょう。本当に壷が出てきたのです。
「ありがたい、ありがたい」欲張りじいさんは大喜びで壷を抱えて、自分の家に戻りました。
ところが蓋を取ってみると、中は石ころだらけで、いくらさがしても、小判なんか一枚も出てきません。
(あのじじいめ。よくも騙しやがったな!)
欲張りじいさんはすっかり腹をたてて、その壷を抱えて隣のおじいさんの家に行き、
「この、嘘つきじじい!」と、言うなり、まどから家の中へ投げ込んだのです。
ドッスン! おじいさんとおばあさんは、ビックリしてとび起きました。音のした方を見てみると、家の中に壷が転がっています。
「だれがこんなことを」言いながら壷の蓋を取ってみると、なんとピカピカの小判がどっさりとつまっていたのです。
おばあさんは、大喜びで、「やっぱり、おじいさんの夢は本当だったのですね」と、言いました。
すると、おじいさんもニコニコして、「ほら、果報は寝て待てば、むこうからやってくるんだ」と、言いました。
小判:一两金币,小金币。
どっさり:很多,好些。
初夢:正月初一,初二做的梦。
果報は寝て待て:有福不用忙。
潜り:钻入。
欲張り:贪婪,贪得无厌。
しめしめ:太好了,好极了。
クワ:锄。
ありがたい:难得,少有;值得感谢;感激。
腹をたてる:生气;发怒。
ニコニコ:笑嘻嘻;笑眯眯。
有福不用忙
长崎县民间故事
从前,有一个地方住着一位老爷爷和老奶奶。
虽然他们非常贫穷,可两个人都非常善良。
有一年的正月的一个早晨,老爷爷一醒来就对老奶奶说:
“我做了个好梦,咱家后面的地里不是有一棵大树么,一挖那棵树的树根,出来一个装满金币的坛子。一高兴就醒了。”
听了老爷爷的话的老奶奶说:
“那么快去挖吧。自古以来把正月做的梦叫‘初梦’,据说初梦是很灵验的。”
说完,想起床出发。
可老爷爷却说:
“你看你,哪能那么慌张呢。有句古话叫‘有福睡着等(不用忙)’啊!”
“你说的也有道理,那么我们接着睡觉吧。”
老奶奶又钻进了被窝。
没有想到,邻家的贪婪的老爷爷经过他家的时候正好听到了两个人的话。
(好极了,这下听到好消息了。)
贪婪的老爷爷立刻拿着锄头去了地里。
一挖大树的树根,怎么样呢?
果然挖出来一个坛子。
“太幸运了,太幸运了。”
贪婪的老爷爷非常高兴的抱着坛子回到了自己家。
没想到的是,打开坛子盖一看,里面全都是石头,怎么找也找不到一枚金币。
(那个死老头,竟然敢骗我!)
贪婪的老爷爷非常生气,抱着这个坛子去了隔壁的老爷爷家,喊道:
“你这个撒谎的老头!”
说完,把坛子从窗子扔了进去。
“咚!”的一声。
老爷爷和老奶奶吓得跳了起来。
朝声音处一看,房间里有一个坛子倒在地上。
“是谁干的啊?”
说完打开坛子盖一看,里面竟然装满了闪闪发光的金币。
老奶奶大喜过望说道:
“没错,爷爷的梦真的很灵验。”
老爷爷也笑眯眯的说:
“你看,真的是‘有福睡着等(不用忙)’啊!(它自己)从那边过来了。”
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